産休・育休ガイドブック

【いつから始める?】産休・育休準備タイムライン:やることリストと会社への伝え方

Tags: 産休, 育休, 手続き, タイムライン, 準備, 会社, 報告, 給付金, 中小企業, チェックリスト

産休・育休準備はいつから?全体の流れと進め方

妊娠が判明し、今後の働き方について産休・育休の取得を考え始めた際、「一体いつから何を準備すれば良いのだろうか」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に、会社に産休・育休取得の前例が少ない場合、ご自身で情報を集め、計画的に進めていく必要があります。

この記事では、妊娠初期から産休・育休開始までの期間をいくつかのステップに分け、それぞれの時期にやるべきこと、会社への伝え方や確認事項、必要な手続きについて具体的に解説します。タイムラインに沿って準備を進めることで、安心して産休・育休を迎えることができるよう、ぜひ本記事を参考にしてください。

【ステップ1】妊娠判明〜安定期に入るまで:まずは情報収集と非公式な確認から

妊娠が判明したら、まずはご自身の体調を第一に考えてください。そして、無理のない範囲で産休・育休に関する情報収集を始めることが推奨されます。

会社の制度を確認する

勤務先の就業規則や育児休業規程を確認しましょう。会社にこれらの規程がない場合や、どこにあるか分からない場合は、総務部や人事を担当している部署に問い合わせてみてください。規程には、育児休業の取得条件や期間、申請手続き、休業中の待遇などが定められていることがあります。中小企業の場合、詳細な規程がないこともありますが、その場合でも育児・介護休業法の定める制度は利用できます。

会社内の情報収集(可能な場合)

もし、過去に産休・育休を取得したことのある先輩社員がいれば、経験談を聞いてみるのも参考になります。社内の制度利用状況や雰囲気などを把握できる場合があります。ただし、これは必須ではありませんし、難しい場合でも心配ありません。

直属の上司への妊娠報告を検討する(体調優先で)

安定期に入る前でも、つわりなどで業務に支障が出る可能性がある場合や、業務の引き継ぎを考慮して早めに伝えたい場合は、直属の上司に妊娠した事実を報告することを検討します。報告する時期や相手に法的な決まりはありませんが、業務調整や今後の手続きのために、できるだけ早めに伝える方が会社側も対応しやすくなります。ただし、ご自身の体調や会社の状況を考慮して、慎重に判断してください。この時点では、産休・育休の取得を「検討している」という段階でも問題ありません。

【ステップ2】安定期に入ってから:会社への正式な報告と具体的な相談

安定期に入り体調が落ち着いてきたら、会社へ正式に妊娠と産休・育休取得の意向を伝え、具体的な手続きについて相談を進めていく時期です。

会社への正式な報告と相談

直属の上司に加えて、人事担当者や総務担当者に正式に報告を行います。この際、産前産後休業および育児休業を取得したい意向と、希望する休業期間(予定日などから概算で)を伝えます。 会社は、育児・介護休業法に基づき、従業員からの妊娠・出産・育児に関する申出に対して、適切な対応を行う義務があります。安心して相談を進めてください。

会社との面談

会社によっては、この時期に人事担当者などとの面談が実施される場合があります。面談では、以下の内容について確認し、話し合うことが重要です。

産前休業取得に向けた準備

出産予定日が近づいてきたら、産前休業を取得するための準備を行います。産前休業は出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得できます。

【ステップ3】産前休業開始前:最終確認と手続き

産前休業が始まる直前は、必要な手続きや最終確認を行い、引き継ぎを完了させる時期です。

会社への育児休業申出書の提出

育児休業を取得するためには、原則として休業開始予定日の1ヶ月前までに会社に「育児休業申出書」を提出する必要があります。会社によっては、独自の様式が定められている場合がありますので、確認してください。

健康保険・雇用保険に関する手続きの確認

産前産後休業中の出産手当金、育児休業中の育児休業給付金の手続きについて、会社と最終確認を行います。これらの給付金の申請は、会社経由で行うのが一般的です。また、産前産後休業・育児休業中の社会保険料免除についても、会社が手続きを進めているか確認しましょう。

業務引き継ぎの完了

作成した引き継ぎ資料などを基に、担当業務を後任者にしっかりと引き継ぎます。不明点が残らないように、丁寧に行うことが重要です。

【ステップ4】休業期間中:給付金の申請など

休業期間中にも、必要な手続きが発生します。

出産育児一時金の申請

お子さんが生まれた後、健康保険から「出産育児一時金」が支給されます。これは出産費用にあてられるもので、多くの場合、「直接支払制度」や「受取代理制度」を利用すれば、健康保険から医療機関へ直接支払われるため、ご自身での手続きは不要な場合があります。利用できる制度や手続き方法を健康保険組合や会社に確認してください。

出産手当金の申請

産前産後休業期間中に、健康保険から賃金の一部を補填する目的で「出産手当金」が支給されます。申請は産後57日以降に可能となり、多くの場合、会社が手続きを行います。申請書類の提出時期や必要書類(医師・助産師の証明など)について、会社と連携して進めます。

育児休業給付金の申請

育児休業期間中に、雇用保険から賃金の一部を補填する目的で「育児休業給付金」が支給されます。原則として、育児休業開始から6ヶ月間は休業開始前賃金の67%、それ以降は50%が支給されます。申請は会社経由で行うのが一般的で、2ヶ月に一度ハローワークへ申請を行います。最初の申請は育児休業開始から約2ヶ月後に、会社から案内があることが多いです。必要書類(住民票、母子手帳のコピーなど)や手続きのタイミングについて、会社と確認してください。

手続きの抜け漏れを防ぐための確認事項チェックリスト

産休・育休準備の各ステップで、以下の項目を確認しましょう。

もし会社との間でトラブルが発生したら:相談先

産休・育休の取得に関して、会社との話し合いがうまくいかない、不利益な扱いを受けたなど、トラブルが発生した場合は、一人で抱え込まず、専門機関に相談することができます。

まとめ

産休・育休の準備は、妊娠判明後から計画的に進めることが大切です。本記事でご紹介したタイムラインとチェックリストを参考に、それぞれの時期にやるべきことや会社との確認事項を整理してみてください。

特に中小企業では、手続きに不慣れな場合や、社員側から積極的に情報提供・相談を行う必要があるケースもあります。法的な権利や会社の制度を正しく理解し、会社と丁寧なコミュニケーションを取りながら進めることが、安心して産休・育休を取得するための鍵となります。

もし分からないことや不安なことがあれば、一人で悩まずに会社の担当部署や公的な相談窓口を利用することも検討してください。計画的に準備を進め、大切な時期を安心して迎えていただければ幸いです。